“壊すのにもお金がかかる時代”
解体工事の費用高騰と業者倒産が示す、業界のいま
建物を壊す「解体工事」。建てるより安く思われがちですが、今や“壊すにもお金がかかる時代”に突入しています。そしてその波は、解体業者の経営すら揺るがしています。コスト上昇、倒産件数の増加、そしてその背景にある構造的な課題──今回は、この解体業界の“いま”を、わかりやすくお伝えします。
■ 解体費用が高騰する理由
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人件費の上昇
建設業界は人手不足が深刻で、職人の確保に高コストがかかっています。 -
処分費の増加
廃材処分には法規制と分別義務が厳しく、廃棄コストも増加。 -
燃料・重機コストの上昇
重機を使った作業が多いため、燃料費やメンテナンス費も無視できません。
その結果、数年前の相場よりも2〜3割高い見積もりが出るケースも少なくありません。
■ 解体業者の倒産が急増中
東京商工リサーチによれば、2024年度(4〜2月)に倒産した解体業者は54件。これは過去20年で最多で、前年をさらに上回る勢いです。
主な理由は以下の通り:
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受注不振(70%):単価が上がりすぎて顧客離れが起きている。
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原価高騰:処分費・資材・燃料などすべてが値上がり。
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2024年問題:労働時間制限が始まり、人手確保がさらに困難に。
つまり、コストがかかるのに仕事が取れず、人もいない──という「三重苦」に直面しているのが現状です。
■ それでも“生き残れる業者”は何が違うのか?
厳しい状況でも着実に仕事を受注し続ける、いわば「生き残る解体業者」には共通点があります。
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透明な見積もりと説明
「なぜこの価格になるのか」を丁寧に伝える力が、信頼を生んでいます。 -
地域密着型の営業力
不動産会社や行政と連携し、安定した受注ルートを確保しています。 -
補助金や制度への知見
「空き家解体補助」など制度をフル活用し、施主の負担を軽減しています。
■ 解体を予定しているなら「今」が判断のタイミング
「もう少し後で…」と考えているうちに、費用はさらに高く、信頼できる業者も減っているかもしれません。
“壊すにもタイミングがある”。
今の解体工事は、価格だけでなく「信頼できる業者選び」が鍵を握る時代です。